梅の毒性について

早春の花の香りや梅干し・梅酒などに利用される実も含め、梅は日本人にとって欠かせない大切な植物です。薬草のように有益な植物の中には、使い方次第では人体に有害な毒性を持つ種類もあり、梅の場合は熟していない青い果実の状態で口にした場合、中毒を起こす恐れがあるといわれています。その毒性の正体はアミグダリンやプルナシンといった青酸配糖体で、未熟な種子を守るための糖と青酸が結合した物質とされ、同じバラ科の桃やあんずなども同様の青酸配糖体を含んでいます。

アミグダリンやプルナシンはその成分のみで毒性を持っているわけではなく、未熟なままの青い実を食べることで胃酸や腸内細菌が持つ酵素の働きによって有毒物質シアンが生成され、人体に影響があらわれます。シアンの影響でけいれんや呼吸困難、めまいやまひといった症状に見舞われ、場合によっては命にかかわるような重篤な状態に陥ることもあります。

シアンによる中毒は深刻なものがありますが、大人が青い状態の梅の実を1つ2つ食べたからと言って急に中毒症状が起こることはなく、幼児が青い実を拾って果肉を食べた場合も特に問題は起こらないといわれています。通常、青い実の果肉だけを摂取した場合、胃酸などの消化酵素のみではシアンは生成されることはなく、熟していない果肉ではなく種の中にある核の部分を大量にかみ砕くといったことさえ行わなければ、特に深刻な健康被害を受けることはないとされます。

幼児の場合、青い実の果肉まではかじったとしても、種の中身までかんで飲み込むことは考えにくいため、未熟な実を口にしてしまったとしても、相当大量に摂取しない限り死に至るような毒性は生じないといわれています。青く未熟な状態で収穫された実も、梅干しや梅酒になる過程で塩分や天日干し、アルコールによって毒性は低下していることから、安心して食べられる状態になります。種の中身にある毒も梅干しになっていれば安全ですが、アレルギー体質の人は食べ過ぎに注意することが大事です。

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